看板設置に決まりはある?ルールについて徹底解説!

2020年08月11日 ノウハウ
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こんにちは、SignWebネットショップです。

世の中にはさまざまな種類の看板が溢れ、お店や会社などの案内や誘導、商品の宣伝・PRなどといった大事な役割を担っています。
そんな私たちの身近にある看板ですが、はたして設置するにあたっての決まりやルールなどはあるのでしょうか。
これから新たに看板を製作・設置したいとお考えの皆さんに、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

看板設置の決まりとは?

法律
街で当たり前のように見かける看板も、実はさまざまな法律によって設置に関するルールが決められています。
それは、主に「道路交通法」「道路法」「屋外広告物法」などの法律で、その他に建築基準法や各自治体が定める屋外広告物条例、景観条例なども挙げられます。
場合によっては、行政にあらかじめ申請書類を提出し、許可をもらわなければ設置できないケースもありますので、それを知らずに看板を製作し、せっかく設置したものの法律違反により撤去しなければならないこともあるのです。

それでは、これから各々の法律について分かりやすく説明していきます。

道路交通法

道路に看板を設置する場合は、安全性などの条件を満たし、事前に看板設置の許可申請を行う必要があります。

道路交通法では、下記の通り定めています。
「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」(同法第1条)

つまり、道路交通において事故などが起こらないよう安全に留意して看板を設置しなければならないということです。

例えば、設置しようとする看板本体(袖看板やポール看板など)が歩道や車道にはみ出す場合、道路交通法による「道路上空占有届け」が必要となります。
看板本体の下端と路面との距離が、歩道であれば2.5m以上、車道であれば4.5m以上それぞれ確保できなければ許可を受けられませんので注意してください。

道路法

道路法は、道路の整備や管理、保全に関する基本法で、道路上に継続して看板を設置する場合には、道路管理者の許可を受ける必要があります。
※同法では道路とは、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の4種類を定義しています。

道路法では、下記の通り定めています。
「道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを目的とする」(同法第1条)

なお、許可もなく歩道や道路にはみ出してのぼり旗やスタンド看板などを設置し、通行人や車の走行を妨げることは禁止されていますので、道路交通法と合わせてよく確認しておいてください。

屋外広告物法

屋外広告物法は、場所やサイズ、維持管理などについて規定し、美観風致の維持や公衆に対する危害の防止を図ることを目的とした、屋外広告物を取り締まるための法律です。

屋外広告物法では、下記の通り定めています。
「良好な景観を形成し、若しくは風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示及び屋外広告物を掲出する物件の設置並びにこれらの維持並びに屋外広告業について、必要な規制の基準を定めることを目的とする」(同法第1条)

また、同法では、屋外広告物を出すことを禁止している地域・場所(禁止区域)や物件(禁止物件)を定めています。

<禁止区域>
・第一種/第二種低層住居専用地域(低層住宅の良好な住環境を守るための地域)
・第一種/第二種中高層住居専用地域(中高層住宅の良好な住環境を守るための地域)
・文化財保護法の建造物及びその周囲
・学校、病院、公会堂、図書館、博物館、美術館、官公署等の敷地 など

<禁止物件>
・橋、トンネル、高架構造物、分離帯
・道路標識、信号機、ガードレール、街路樹
・郵便ポスト、公衆電話ボックス、テレビ塔、送電鉄塔、ガスタンク、水道タンク、煙突、銅像、記念碑 など

上記以外にも、屋外広告物を出してはいけない区域などがありますので、よく確認した上で看板を設置するようにしてください。

※参考:屋外広告物のしおり│東京都都市整備局

看板設置に必要な屋外広告物許可申請とは?

書類
新たに看板を設置するにもさまざまな法律があるということはご理解いただけたでしょうか。
ここからは、看板の設置にあたって許可が必要なケースなどについてご説明します。

そもそも屋外広告物とは?

先ほどご説明しました屋外広告物法の中でも出てきました「屋外広告物」という言葉についてですが、「屋外広告物」とは、(1)常時または一定の期間継続して(2)屋外で(3)公衆に表示されるものであって、(4)看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物などに掲出され、または表示されたものやこれらに類するものをいいます(屋外広告物法第二条)。
上記(1)~(4)までの全ての要件を満たしていれば、営利目的の有無や表示内容に関係なく、文字で表現されていない絵や写真、商標、シンボルマークなども屋外広告物に該当します。

主な屋外広告物の種類としては、下記の通りです。
・屋上利用広告板/広告塔
・建植広告板/広告塔
・壁面広告
・袖看板(突き出し広告)
・アーチ広告
・アーケード広告
・立看板
・電柱広告
・はり紙
・はり札
・広告旗
・広告幕
・アドバルーン など

(屋外広告物に該当しないもの) ※一例にて
・街頭などで配布されるビラやチラシ
・商業施設のショーウィンドウ内に設置されたもの
・自動車の窓ガラスの内側から貼り付けられたもの
・野球場や遊園地、工場、駅構内などに入る特定の人を対象としたもの
・単に光のみを発するもの(サーチライトなど)
・音響広告 など

※参考:景観まちづくり「屋外広告物制度の概要」│国土交通省

屋外広告物の申請や許可が必要なケースとは?

【ケース① 看板の表示面積の合計が10平方メートル(禁止地域においては5平方メートル)を超える場合】
主な対象看板:壁面看板、ポール看板、自立看板、屋上看板など
必要な許可申請:屋外広告物許可申請(屋外広告物法)

【ケース② 建物から看板や日よけなどが歩道や車道まではみ出している場合】
主な対象看板:袖看板、壁面看板、スタンド看板、オーニング、スポットライトなど
必要な許可申請:道路使用許可申請(道路交通法第77条)、道路占用許可申請(道路法第32条)

【ケース③ 高さが4メートルを超える大きな看板を設置する場合】
主な対象看板:ポール看板、自立看板、袖看板、屋上看板など
必要な許可申請:工作物確認申請(建築基準法第88条)

屋外広告物許可申請の許可期間や手数料とは?

屋外広告物許可申請においては、屋外広告物の種類や面積などによって許可期間や手数料が決められており、また各自治体によっても異なっています。
ここでは、東京都の例についてご説明します。

<屋外広告物許可申請手数料及び許可期間>
種類 許可申請手数料 許可期間
単位 金額
広告塔/広告板 面積5㎡までごとにつき 3,220円 2年以内
小型広告板 1枚につき 400円 1年以内
はり紙・はり札等 50枚までごとにつき 2,250円 1月以内
広告旗 1本につき 450円 1月以内
立看板等 1枚につき 450円 1月以内
電柱・街路灯柱の利用広告 1枚につき 310円 1年以内
標識利用広告 1枚につき 210円 1年以内
宣伝車 1台につき 4,950円 1年以内
バス又は電車の車体利用
広告で長方形の枠を利用
する方式によるもの
1枚につき 610円 1年以内
前記以外の車体利用広告 1台につき 1,950円 1年以内
アドバルーン 1個につき 2,850円 1月以内
広告幕 1張につき 990円 1月以内
アーチ 1基につき 10,630円 2年以内
装飾街路灯 1基につき 5,010円 2年以内
店頭装飾 1基につき 19,800円 1月以内
※区長や市長、町長が許可する広告物については、それぞれの区・市・町で手数料を定めているため、上記の金額と異なる場合があります。詳しくは屋外広告担当窓口でご確認ください。
※参考:屋外広告物のしおり│東京都都市整備局

屋外広告物許可申請の注意すべきこととは?

条例により、形状や規模、色彩、意匠その他表示の方法が景観風致を害するおそれのある広告物や、次に掲げる広告物については禁止広告物として定められていますので、これから申請する広告物に該当しないかどうか確認しておいてください。

・腐朽し、腐食し、又は破損しやすい材料を使用した危険な広告物等
・構造又は設置の方法が危険な広告物等
・風圧又は地震その他の震動若しくは衝撃により容易に破損、落下、倒壊等のおそれのある広告物等
・信号機又は道路標識等に類似し、又はこれらの効用を妨げるなど、道路交通の安全を阻害するおそれのある広告物等

また、申請内容によっては審査などに時間がかかり、許可書の交付までに日数を要する場合がありますので、早めに自治体へ相談・申請されることをおすすめします。

屋外広告物許可申請を行う場合の流れとは?

「新規および変更申請」と「継続申請」の2パターンについてご説明します。

①許可申請書類の提出
広告物を表示する場所を所管する担当窓口に申請書類(正副2部)を提出します。
なお、継続申請の場合の注意点として、先述の通り広告物の種類によって許可期間が異なるため、期限後も継続して表示等をする場合は、期間が満了する10日前までに継続手続きが必要となります。

(新規および変更申請の場合)
・屋外広告物許可申請書
・図面等(付近案内図、仕様書、着色したデザイン図、設計図〈配置図、立面図、屋上平面図を含む〉、配線図〈ネオン仕様の場合〉等)
・承諾書(第三者が所有する土地・建物に表示等する場合)
・委任状(広告主が申請手続きを第三者に委任する場合)
・マンセル値を表示した広告物の意匠図(文化財庭園等の周囲で知事が指定した区域に表示する広告物等に限る)
・屋外広告物等に係る意匠等作成経過報告書(車体利用広告、知事が指定する地下歩行者道等に表示する広告物等に限る)

(継続申請の場合)
・屋外広告物許可申請書
・図面(付近案内図のみ)
・広告物のカラー写真(サービスサイズ程度で3ヶ月以内に撮影されたもの)
・屋外広告物自己点検報告書(高さが4mを超えるものまたは表示面積が10平方メートルを超える広告塔・広告板及びアーチ・装飾街路灯の場合は、屋外広告物管理者による点検が必要となります)
・承諾書 ※必要な場合
・委任状 ※必要な場合

②申請内容の審査
申請内容や各自治体によっても変わりますが、通常で約1~2週間程度かかります。

③手数料の納付
許可されたものについては自治体から手数料納付書が送られてきますので、案内に従って手数料を支払います。
先述の通り、手数料は看板の種類や数量などによって異なるため、あらかじめよく確認した上で納付するよう注意してください。

④許可書の交付
自治体にて手数料の納入が確認されると、許可書が交付されます。

⑤許可済シールの貼り付け、状況報告書の提出
自治体から許可期間や許可番号などが記された許可済シール(標識票)が送られてきますので、広告物や敷地内の見やすい箇所に貼り付け、その状況を写真などに記録し、貼り付け状況の報告書に添付して提出します。

※参考:屋外広告物のしおり│東京都都市整備局

看板の設置環境で気を付けるべきこととは?

事故
どんな看板においても、設置する際には事故やトラブルなどが起こらないよう十分気を付けて作業を行う必要があります。
では、具体的にどのようなことに注意すればよろしいでしょうか。
ここで、さまざまな看板の設置環境下での注意点や対策などをご紹介します。

屋上看板・塔屋看板

屋上看板・塔屋看板

【予想される事故やトラブル】
・風雨や強い日差しにさらされるため、看板本体の老朽化や取付金具などの腐食により落下や倒壊のおそれがある。
・建物の屋上から看板や部品などが落下すれば、通行人や車などに直撃し大怪我や大事故になりかねない。

【対策など】
・台風などの風雨にも耐えられるよう看板を固定し、設置する。
・定期点検を実施し、必要に応じて看板の表示面を取り替え、古くなった部品を新品に交換する。

ポール看板・建植看板

ポール看板・建植看板

【予想される事故やトラブル】
・看板本体とポールの接合部分が風雨などによって腐食し、看板本体が落下するおそれがある。
・ポールの根腐れにより根元から倒壊するおそれがある。
・地震などの強い揺れで看板本体やポールごと倒壊するおそれがある。

【対策など】
・基礎工事をしっかりと行い、耐震性に余裕をもって設置する。
・ポールの根元に水が溜まらないようコンクリートを傾斜に付け、倒壊のリスクを減らす。
・ポールや看板の鉄骨部分にサビに強い亜鉛メッキ加工を施し、耐久性を高くする。

壁面看板

壁面看板

【予想される事故やトラブル】
・看板の老朽化や風雨などにより落下するおそれがある。
・壁面への取り付けがしっかりとできていないと看板の重みで落下するおそれがある。

【対策など】
・看板が歪んだり変形していないか、部品が劣化したり破損していないかなど、日頃から目視で確認する。
・取付ボルトのゆるみがないかどうかなどを含め、専門業者に定期的なメンテナンスを依頼する。

袖看板・突出し看板

袖看板・突出し看板

【予想される事故やトラブル】
・低所に設置した場合、通行人などがぶつかって怪我をするおそれがある。
・高所に設置した場合、低所よりも風圧を受けやすいため、壁面やポールと看板本体の間の接合部分に大きな負荷がかかり、看板や部品などが落下するおそれがある。
・雨などが看板の内部にまで入り込み、外観は問題なくても気付かない間に内部が腐食し破損・落下するおそれがある。

【対策など】
・低所に設置する場合は、屋外広告物条例による基準を守り、通行人がぶつからない高さに設置する。
・看板のブラケットや鉄骨部分に防錆処理を施し、耐久性を高める。
・高所作業車などを使って定期的に看板内部の点検も行う。

スタンド看板・立て看板

スタンド看板・立て看板

【予想される事故やトラブル】
・軽量な看板ほど強風で吹き飛ばされたり倒れたりするおそれがある。
・看板が歩道や車道にはみ出している場合、通行の妨げとなって交通事故を引き起こす危険がある。
・電飾看板などコンセントの付いた看板は、電源コードの傷や差し込みプラグ部分の破損によって漏電し、火災が発生するおそれがある。

【対策など】
・台風や強風などが予想される場合は、室内にしまうか、飛ばされないようにおもりなどを置いたりチェーンなどで固定したりしておく。
・電飾看板などは、使用前に電源コードや差し込みプラグ部分に異常がないかどうか(傷や埃、水分などの有無など)をチェックする。

まとめ

メンテナンス
どんな看板も設置して終わりではなく、その後も長く安心して使えるよう定期的なメンテナンスが欠かせないものです。
経年劣化や取付不良による看板の落下や倒壊などが起きてしまってからでは遅いため、きちんと看板設置に関する法律を遵守し、安全性や耐久性などを考慮した上で看板を製作・設置していただけたらと思います。

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